青年海外協力隊の1日(ペルー 環境教育)

ペルー北部の沿岸都市タララで、青年海外協力隊員として環境教育活動に取り組む典型的な1日をご紹介します。私の活動は主に環境アート作成やビーチの清掃活動を中心に、地域住民や子どもたちに環境保護の重要性を伝えることを目指しています。学校の訪問は週に1度程度ですが、日常の清掃活動やアートプロジェクトを通して地域の環境意識向上に少しでも役立てるよう、日々試行錯誤を続けています。今回は、タララでの1日を朝から晩まで具体的に紹介していきます。


目次

6:30 起床と朝の準備

6時半に目が覚めると、軽いストレッチをして身体をほぐします。タララの朝は心地よい涼しさがあり、この時間を使って体力を整え、1日に備えるのが日課です。シャワーを浴びて身支度を整えたら、簡単な朝食をとります。パンや果物を食べながら、今日の活動スケジュールや必要な準備物の確認を行います。

午前中はアートプロジェクトの準備、午後にはビーチでの清掃活動が控えているため、リサイクル材料やペンキ、作業用手袋、ゴミ袋などをバッグに詰め、出発します。ペルーの多くの地域ではリサイクル意識がまだ発展途上であるため、アートを通じて環境問題について知ってもらう活動にやりがいを感じています。


8:00 アートプロジェクトの準備

アートプロジェクトの準備を行うため、まずは地域のコミュニティセンターへ向かいます。この日は、タララでよく目にする海洋生物をテーマに、リサイクル素材を使ったアート作成を計画していました。子どもたちが興味を持ちやすいよう、色鮮やかなウミガメや魚を描く予定で、ペットボトルのキャップや廃タイヤなど、集めておいたリサイクル素材を活用します。

現地の人々もアート活動に関心を持ってくれており、時には地元の方々が素材提供を手伝ってくれることもあります。しかし、リサイクル素材が不足することも多く、限られた資材をどのように活用するかは毎回の課題です。また、アート活動を通じて参加者に「捨てる物が新たな価値を持つ」ということを体感してもらうことが重要で、準備段階でも環境意識をどう育てられるかを考えています。


10:00 環境アート作成のワークショップ

コミュニティセンターには、地元の子どもたちや親たちが集まってきます。ワークショップでは、ウミガメやイルカなど、ペルーの海洋生物を題材にしてリサイクル素材を使ったアート作成を行います。私が指導するのは、ゴミをただの「廃材」と見なさず、アートを通して新たな役割を与えることの楽しさです。

最初に簡単な環境教育を行い、海に流れ込んでしまったプラスチックが生態系にどのような悪影響を及ぼすかを説明します。その後、子どもたちは集めた素材を使い、各自が作りたい海洋生物のイメージを膨らませていきます。ペットボトルのキャップをウミガメの甲羅に見立てたり、古新聞を魚のうろこに見立てたりと、様々なアイデアが生まれていく様子に私も感心します。


12:00 昼食と小休憩

ワークショップが一段落したところで、現地の市場で昼食を調達します。タララでは新鮮な魚料理が豊富で、この日はセビーチェを選びました。現地の食文化を学びつつ、午後の活動に備えてしばしリフレッシュします。食事をしながら、ワークショップ中の子どもたちの反応や、次回のアート活動に向けた改善点をメモしておきます。


13:30 ビーチでの清掃活動

午後は、近隣のビーチで清掃活動を行います。タララの海岸は観光客も訪れる美しい場所ですが、ゴミのポイ捨てが多く、漂着ゴミも目立ちます。ゴミ袋やトングを手に、同僚や地域住民のボランティアとともに、砂浜に広がるゴミを一つずつ拾っていきます。

ゴミ拾いをしていると、飲み物のプラスチック容器や漁具の破片、さらには使い捨てプラスチック製品など、様々な種類のゴミが見つかります。海洋ごみが海の生物に与える悪影響について話し合いながら、参加者と一緒に清掃活動を続けました。環境問題について日常的な意識を高めるために、「ゴミは捨てるのではなく再利用やリサイクルの対象である」という考えを伝えながら、次第に参加者の意識にも変化が見られるようになってきたことに手応えを感じます。


16:00 活動のまとめとコミュニティ住民との交流

清掃活動の後は、集めたゴミの種類や量を参加者と一緒に確認し、地域の環境問題について話し合うミニミーティングを行います。この日は予想以上のゴミが集まったため、地域の人々も驚いていました。清掃活動の成果を共有し、環境問題への意識向上につなげることが大切です。

活動を終えた後、ボランティアの参加者や現地の住民たちと交流する時間を楽しみます。タララでは住民の多くが漁業に従事しており、海の環境が生活に直結しています。地元の人々から海の生態系の変化について話を聞いたり、彼らの生活に根ざした視点を学べる貴重な時間でもあります。


18:00 帰宅と活動の振り返り

夕方には活動を終えて帰宅し、シャワーを浴びて一日の疲れを癒します。夕食を食べながら、今日の活動の振り返りと明日以降の準備を進めます。ワークショップの改善点や、新しいアート活動のアイデアなどをノートに書き留めながら、次のプロジェクトに向けて構想を練ります。環境教育の普及は一朝一夕には成し遂げられませんが、小さな一歩が積み重なって地域の意識を変えると信じ、モチベーションを新たにします。


まとめ

ペルーのタララでの1日は、環境教育やアート制作、清掃活動を通して、地域の環境意識向上に取り組む充実した時間です。課題は多いですが、アートや交流活動を通じて、少しずつでも地元の人々に環境保護の重要性が伝わっていくことにやりがいを感じています。

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