青年海外協力隊(JICA)が派遣中に経験する可能性があるトラブルの一つが「骨折」などのケガです。特に、活動地が医療施設から遠かったり、リソースが限られたりする状況で、ケガや健康上の問題は大きな課題となり得ます。この記事では、青年海外協力隊員が派遣先で骨折をした際の対応や、日本への一時帰国について、準備やサポート体制、また再渡航に向けたリハビリや心のケアまでを詳しく見ていきます。
1. 青年海外協力隊での骨折リスク
青年海外協力隊員の活動地は、医療施設や救急のインフラが整っていない場所も多くあります。例えば、発展途上国の農村部では整形外科の専門医がいなかったり、レントゲンなどの医療機器が限られていたりすることも珍しくありません。こうした環境で日常活動をする中で、思いがけず転倒や事故によって骨折をしてしまうこともあります。
骨折のリスクが高いケースとして、以下のような状況が挙げられます。
- 農業や建設の支援活動中の事故:重いものを持ったり、不安定な地形を歩いたりする機会が多く、骨折やケガのリスクが高まります。
- 交通事故:現地の交通インフラや交通ルールが整っていない場所での事故が原因になることもあります。
- スポーツ活動:現地の人々との交流を目的としたスポーツ活動でも、意図せず骨折することがあります。
2. 骨折が発生した際の初期対応
もし派遣中に骨折してしまった場合、まずは落ち着いて状況を整理し、適切な初期対応を行うことが重要です。青年海外協力隊には、現地のサポート体制やJICAの緊急対応マニュアルが整備されており、以下のステップで行動するとよいでしょう。
- まずは応急処置:痛みや腫れがある場合には、できるだけ動かさずに患部を冷やし、可能であれば添え木などで固定します。
- JICAの現地事務所へ連絡:JICAの現地スタッフに緊急連絡をし、医療機関に同行してもらえるよう依頼します。現地スタッフは医療機関や交通機関の手配をサポートしてくれます。
- 医療機関への移動と診察:場合によっては近隣の都市部や専門医のいる病院への移送が必要になることもあります。病院での診察の際には、現地の言葉でのコミュニケーションが難しいこともあるため、JICAのスタッフがサポートに入ることが一般的です。
3. 一時帰国の判断と手続き
骨折の状態や治療方針によっては、日本に一時帰国して治療を受けるケースも多くあります。現地での治療が難しい場合や、手術が必要なケースではJICAの判断のもと、一時帰国が決定されることがあります。
一時帰国が決定した際の手続きは以下の流れです。
- JICAとの連携:治療の緊急性や帰国後のサポート体制について、JICAの医療担当者と相談します。
- 帰国スケジュールの調整:JICAのサポートを受け、航空便や移動手段を手配します。また、医師の診断によっては松葉杖や車椅子が必要なこともあり、空港でのサポート手配も行います。
- 帰国後の治療体制の整備:日本に帰国後、速やかに医療機関で治療ができるよう、JICAの医療サポート窓口にて連携を行います。一般的には、自宅療養やリハビリの計画もこのタイミングで話し合われます。
4. 一時帰国中の治療とリハビリ
日本に一時帰国して治療を受ける場合、JICAのサポートのもとで、専属の医療機関にて治療やリハビリを行います。日本での治療には高度な医療技術やリハビリ施設が整っているため、現地では得られない細やかな治療を受けられます。
治療中に注意すべき点は、復帰に向けたリハビリ計画やトレーニングを進め、再派遣が可能かを医師と相談することです。骨折の回復には時間がかかるため、心身の健康状態を保つよう心がけ、できるだけ活動再開に向けて前向きに取り組みましょう。
5. 再渡航の判断と復帰に向けた準備
ケガが回復し、再度活動地に戻ることができるかどうかの判断は、主治医とJICAのスタッフとの協議によって決まります。医師から完全回復の診断が出た場合、再渡航のための準備が進められます。しかし、再渡航の前に自身の体力やメンタル面での準備も重要です。以下の点に気をつけながら、復帰に向けた準備を進めていきましょう。
- リハビリ期間の延長:無理せず、医師やJICAの担当者に相談しながらリハビリに取り組みます。無理に早期復帰を目指すと再発のリスクが高まるため、慎重に進めることが肝心です。
- 心理的ケア:長期間活動地を離れることで、現地での活動の遅れや同僚への申し訳なさを感じることもありますが、無理をせず、必要であれば心理的ケアを受けることもおすすめです。
- 再渡航に備えた準備:復帰後にスムーズに再開できるよう、現地の関係者や隊員仲間に現状を共有しておくと良いでしょう。帰国中に得た知識やスキルを整理し、活動の質を向上させることも役立ちます。
まとめ:一時帰国を経て得られるもの
派遣中の骨折による一時帰国は、活動の中断を意味するだけではなく、さまざまな気づきや成長の機会ともなり得ます。一時帰国を通じて改めて自分の健康管理の重要性や、日本の医療のありがたみを実感し、派遣地での活動に対する意識も高まることが多いでしょう。また、再渡航後の活動においても、より安全に配慮し、現地での生活におけるリスク管理のスキルが向上します。
青年海外協力隊として海外での挑戦を続けるためには、こうしたケガや予期せぬトラブルに対する柔軟な対応力も求められます。JICAのサポートと現地スタッフの協力を活用し、再度活動に集中できる環境を整え、力強く活動を再開することが大切です。
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